味覚障害は治せるの?若者にも増えている味覚障害の原因と改善方法
ある日、突然食べ物を美味しく感じることができなくなったら・・・?
コーヒーを飲んで、しょっぱく感じたら・・・?
このような味覚の異常は高齢者が多かったのですが、今は若者にも増加傾向にあります。
それはなぜか?
症状は治すことができるのか?
味覚は、食事で幸せを感じることのできる大切な感覚です。
あなたの大事な味覚を守るために、原因やセルフチェック方法、予防方法など、味覚障害について、お伝えしていきます。
友達や家族、大切な人と料理を十分に楽しむために、日頃から味覚を鍛えておきましょう。
目次
味覚障害になったらどうなるの?その症状の種類とは?
味覚障害とは、老化により引き起こされる症状の一つでしたが、最近では、10代や20代の若い人でも発症する人が増えています。
味覚障害は、気付いたときには、すでに重症化していることが多いですが、そうなる前にはいくつかの兆候が現れる傾向が見られます。
症状としては食べ物の味がしなくなり、兆候として、
「食べ物の味が薄く感じるようになった」
「料理を作りと味が濃いと言われるようになる」
「何も食べていないのに苦みを感じる」
「食事が美味しいと感じなくなる」
「妊娠中に味覚が変化した」
など・・・。
味覚障害のパターンとしては、
- 味を感じなくなるタイプ
- 本当は甘いのに苦く感じるようになるタイプ
- 何も食べていないのに味を感じるようになるタイプ
- 特定の味が分からなくなるタイプ
- すべての食べ物がまずく感じるようになるタイプ
があります。
味覚障害を引き起こす3つの原因と事前に現れる兆候
味覚障害の大きな原因としては、
- 風邪などの疾患による一時的なもの
- 心因性のもの
- 亜鉛不足によるもの
この3つに大別されます。
風邪が原因の場合
風邪などを引いて体調が悪くなると、舌の表面の舌苔(ぜったい)が厚くなるため、味を感じにくくなります。
また、風邪以外にも舌の火傷やウイルス感染などにより、一時的に味を感じにくくなることがあります。
風邪などの疾患が原因の場合は、一時的なものであることがほとんどのため、1ヶ月から2ヶ月月程度で自然に治ることが多いです。
心理的要因の場合
心因性の場合は、主にストレスやうつ病などにより発症することがあります。
ストレスを軽減させるために感覚を切ってしまうことや体調の変化から舌苔が厚くなることなどが要因となります。
うつ病になることで処方される抗うつ剤や抗不安薬により、味覚障害を引き起こすケースもあります。
亜鉛不足が原因の場合
亜鉛不足は、原因の7割近いとも言われ、味覚障害の症状が現れたら、亜鉛不足を疑うことが多いです。
味を感じる器官である味蕾(みらい)は、1ヶ月程度の周期で生まれ変わります。
しかし、亜鉛不足になるとこの味蕾が新たに生成できなくなってしまい、味覚障害を引き起こします。
そのため、亜鉛不足が原因の場合は、亜鉛不足を解消することで治ることも多いです。
それでは、亜鉛不足にはどうしてなるのでしょうか?
亜鉛不足は、
- 食事の栄養バランスの悪さ
- ダイエットによる栄養不足
- タバコの吸いすぎ
- ファーストフードの食べすぎ
- 糖尿病や高血圧の薬の長期服用
- アルコールの過剰摂取
などが要因となります。
アルコールは、分解する際に多量の亜鉛を消費するため、結果として亜鉛不足に陥ります。
それから、ダイエットによる栄養不足と、ファーストフードの食べすぎにより、10代や20代の若い人でも味覚障害を引き起こすことになります。
ファーストフードやインスタント食品、加工食品などには、亜鉛が細胞に取り込まれるのを妨げる、亜鉛キレート作用(体外へ排出する作用)の強い食品添加物が多く含まれているので、覚えておいてください。
自分でできる、病院でできる味覚障害の検査方法
自宅でできる簡単チェック方法
味覚障害は自宅でも簡単にチェックすることができます。
用意するものは、小さな湯のみ茶碗とティースプーンです。
- 湯のみ茶碗にはお湯か水を入れます。
- ティースプーン一杯の砂糖を入れてよく混ぜます。
水が冷たいと砂糖が溶けないこともあるので、よく攪拌してください。 - 味覚が正常であれば、飲んだときに甘みを感じますが、もし味覚に障害がある場合は甘みを感じません。
何も感じないか、塩味や酸味を感じてしまいます。
塩や酢を入れていないのに、味覚が損なわれているため、甘みを感じることができないのです。
病院での専門の検査方法
当然ながら、上記の自宅でできるチェック方法は簡単な検査方法。
もし味覚障害の恐れがあるなら、病院で検査を受けることが必要です。
病院では専門の「検査ろ紙」を用いて行います。
検査ろ紙には、それぞれ異なる味がついていて、正常であるかどうかは、正確に答えることで分かります。
もう一つの検査方法として、電気を用いた方法があります。
舌に微量な電流を流すことで、味蕾がどの程度、損なわれているかを検査します。
どちらの方法も簡単に受けることができます。
最近、料理の味が分からないと感じるなら、病院での検査が必要です。
発見が早い方が早く治療することができるので、違和感を覚えたら、診察を受けてみてください。
改善することはできるの?味覚障害の治療について
味覚障害がなぜ起こるのかは諸説あります。
加齢や薬の副作用、亜鉛不足なども関係しています。
上述したように、心理的要素を指摘する専門家もおり、味覚障害に対する治療については、実はそのメカニズムが100%解明されているというわけではありません。
基本的に薬を用いた治療を行うことが難しいと言われています。
特に、味覚障害に対して専門的に効力を持つと言う薬剤が存在しないため、基本的な治療としては根本的なものではなく、ある程度解明されている原因に対してのアプローチを行うと言うものが主体とされています。
そのため、最近では薬剤を使った治療も行われるようになってきているのですが、その方法に関しては病院で行われるもの以外にも自宅でできるものもいくつかあると言われています。
日頃の生活が大事!自宅でできる治療や予防方法
亜鉛不足が原因である場合の改善方法
亜鉛不足が影響している場合は、日頃から味覚を鍛えることで予防することができます。
味覚障害を治療する薬には、亜鉛が含まれていることからも、積極的に亜鉛を摂り入れることが予防に繋がります。
亜鉛を多く含む食材は、肉類全般や豆類、魚介類、卵類に多く含まれていて、普段の食生活の中でも比較的取り入れやすい栄養素として知られていますね。
特に、牡蠣やレバー、ローストビーフ、するめ、煮干し、プロセスチーズ、いりごま、卵黄、ピーナッツバターなどがあります。
ビタミンCとクエン酸は、亜鉛の吸収を良くしてくれるため、併せて摂取すると良いです。
通常の食事であれば、亜鉛の過剰摂取を気にする必要は基本的にはありませんが、サプリメントなども併用すると過剰摂取になってしまうこともあります。
大量に摂取した場合、急性中毒を起こしてしまうこともあるため、成人男性の場合で、1日40~45mg、成人女性の場合で、30~35mgを上限にするようにします。
サプリメントも服用する場合には、通常の食事での亜鉛摂取量を考慮した上でサプリメントを摂取するように注意してください。
亜鉛を摂取する際に食生活で注意するポイント
亜鉛を摂取しても、不足してしまうという人は、野菜や果物を食べなかったり、冷凍食品やコンビニの弁当ばかりといった加工食品に偏った食生活をしていることが原因となっていることが多いようです。
インスタント食品やファーストフードには添加物が入っているので、過剰な摂取により味覚が鈍ることもあるため、注意が必要です。
中には牛肉と豚肉、キャベツと白菜の違いさえ分からないと感じる人もいます。
似ていますが、全く違いますよね。
素材の違いを説明できるくらい味わって食べることで予防ができます。
また、食事をする際はよく味わって、ゆっくりいただくことも大切です。
急いで食べると、味わうことができませんね。
十分咀嚼することで、味覚を鍛えることができます。
十分な咀嚼は唾液を分泌できるため、消化吸収も助けます。
それから、味覚障害のため、料理を難しく感じる場合があります。
長年の料理経験があったとしても、面倒ですが、レシピを見て分量を計って正確に作ってみてください。
これまで通り、美味しい料理を家族に食べてもらえるに違いありませんから。
ストレスが原因の場合の改善方法
他にも心理的なストレスによって味覚に障害が出ると言うケースも少なくないとされているので、食生活を改善すると言っても、それだけではストレスを感じて症状が悪化してしまうということも考えられます。
これに関しては自宅で良質な睡眠や睡眠時間を確保することによって改善することができるとされているので、こちらも予防を含めた方法として、自宅で簡単に実践することができるものとして推奨されています。
日々のストレスを溜めないことが一番です。
ストレスが蓄積されることで、心と身体に悪影響が出ます。
味覚障害やうつ病を食い止めるためには、自律神経やホルモンバランスを整える働きのある脳内のセロトニンを増やすことが有効とされています。
セロトニンを増やすには、
- 朝起きたら日光を浴びる習慣をつけること
- 規則正しい生活を心掛けること
- 軽い運動を習慣化すること
など。
ストレスが溜まり始め、身体に支障を来たしだすと、不眠や怠惰感などが現れるようになり、身体のバランスが崩れていきます。
ここで規則正しい生活を保つことで、物理的に身体のバランスの崩れを食い止めることができます。
また、深呼吸することもセロトニンを増やす方法の一つです。
好きな時間を持つことも心因性の場合は重要になります。
ストレスが溜まってくる前に、美味しいものを食べたり、好きな映画を見たりと自分の気分転換になるような時間を持つようにします。
好きな時間を持つことで、ストレスを感じるようなことがあっても、気持ちの余裕が生まれてくるはずです。
病院での味覚障害の検査方法と治療方法
何科に行って受診すればいいのか?
上記のように自宅で行うことができる方法の多くは予防に繋げることができるので、積極的に行なうことが推奨されているのですが、それにプラスして行っておいた方が良いとされているのが、病院での治療です。
病院では基本的に薬物を使った治癒の他にも経過を観察するための検査を実施しているので、現在の味覚の障害がどの程度のものなのか、治ってきているのか、悪化してきているのかといったところを数値などで明確に診断することができるようになっています。
この検査結果によって、その後の方針を決めることになるので非常に重要だとされています。
ちなみに何科を受診していいのか分からないと言う人も多いのですが、味覚機能検査を受けることができる耳鼻咽喉科や味覚専門外来が妥当だと言われています。
耳鼻咽喉科では、検査を行い、原因の特定を行ってから具体的に治療を行っていきますが、治療期間の目安は、3ヶ月程度と言われています。
こちらで全国の病院一覧から、味覚異常の診療が可能な場所を検索することできます。
▶▶【病院なび】
また、鍼灸院や整体院の中には、鍼灸治療などの東洋医学のアプローチで、味覚障害を改善してくれるところもありますので、事前にそういった症例があるかをよく調べて、訪れてみても良いかもしれません。
病院における具体的な検査方法
では、病院ではどのように治していくのかと言うと、基本的には検査が中心となっています。
味覚障害に関して行われている検査としては、上述したように、ろ紙ディスク法・電気味覚検査の2種類があります。
ろ紙ディスク法では、甘味・辛味・苦味・酸味の4つの味覚に対してアプローチをかけることができます。
それぞれの味を染み込ませた、ろ紙を舌の上に置くことで、その感覚をテストすることができ、この検査によって「異常を感じる味覚は決まっていないかどうか」、「舌特定の部分でだけで障害が生じていないかどうか」を確認することができます。
電気味覚検査では、電流を流した小さな電極を舌の特定部位に当てることで、障害が生じている部位を特定できる他にも、電気の度合いを変えることでどの程度の味覚が損なわれているのかを判断することができます。
まとめ
味覚障害の主な原因は以下の3つにありました。
- 風邪などによって引き起こされる一時的なもの
- ストレスなどの心理的要因のもの
- 食事における亜鉛不足によるもの
いざ症状が現れたとき、きちんと予防するためにケアするときには、上記の要因を元にして、自分で改善できる可能性があります。
もちろん、病院で受診することも大切です。
悪化しないうちに検査を受けてください。
味覚障害は絶対に改善できないという症状ではありません。
美味しく食事を味わうためにも、味覚のケアをしっかりと行ってくださいね。